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可愛い子には旅をさせよ

可愛い子には旅をさせよう ラオリー

 

冒険好きなぼくにとって、旅はいつでも、たくさんの貴重なことを『気づかせ』てくれて、ぼくを成長させてくれる『学び』がいっぱいだよ。


ぼくは、ラオリーです。

 

このブーツは、はじめてひとり旅にでた時、お父さんライオンからプレゼントされたものだよ。

 

このブーツで旅したさまざまな『経験』は、ぼくを着実に成長させてくれて、ぼくを冒険好きにしてくれたよ。


だから・・

このブーツはぼくのよき相棒でもあるんだ。

 

はじめてのひとり旅は、ぼくにとって『ウキウキ・ワクワク・ドキドキ』の連続だったよ。

 

まず、水や食べ物は自分で見つけなくてはならなかったら、水飲み場をさがそうと歩きはじめたよ。

 

きれいな花を見つけたり、たくさんの生き物たちと出会うことは、刺激がいっぱいで『ワクワク』する発見がいっぱいだったよ。


それに、自分一人で好きなところを歩くのは、このうえなく『自由』な感じで、なんでも一人でできそうな感じがしていたからとても楽しかったよ。

 

そんな旅のなかで、戦争で苦しんでいる人や貧しくて質素なご飯を少ししか食べられない人たちにも出会ったよ。


ぼくが知らないところで、たいへんなおもいをしている人たちがたくさんいることを知って『こころ』がとても痛くなったよ。

 

そして・・

そのたびに「ぼくにできることはないだろうか?」と思うようになったんだ・・。

 

こうして、ぼくは見知らぬ土地を何日も歩いたよ。

 

最初は楽しかった旅もだんだん食べ物にもありつけなくなり、水飲み場も見つけることができなくなってしまったんだ。


だけど・・

「ぼくは、こんなことでは負けない・絶対に負けない・負けてたまるもんか!!」って、つぶやいて、食べられそうなものを見つけてはなんとか旅を続けていたんだ。

 

けれど・・

ある日、お腹もペコペコで疲れはてて歩けなくなってしまったんだ。

 

「お父さんは、楽しんでおいで・・」って言ったのに「どこが楽しいの~~~? ぼくはどうなってしまうんだろう?どうしよう・・」と、だんだん心細くなってきて・・

 

だんだん『不安』でいっぱいになり「どうしよう?どうしよう?どうしよう?」って、どうしていいか、わらかなくなってしまったんだ。

 

「誰か助けて~・・お母さん・お母さ~ん」と、叫ぶと涙がポトンと落ち、次から次へとこぼれ落ちる涙はとめどなく、ブーツにはいくつも水玉模様のシミをこしらえてしまったよ。

 

自慢の七色のたてがみもすっかり色あせ、肩をぐったりさせて、ただただ泣くばかりだったんだ。

 

そんなぼくの耳元で・・だれかがつぶやく声がきこえたんだ。

 

「ラオリー、祈りなさい・・」って、ぼくは、ハッとした!!。

 

お母さんだ!!、お母さんが、祈りなさいって言っている。


出発の朝「神様がいつだってお守りしてくださっているから、だいじょうよ!!、困ったことがあったら祈りなさい・・」と、お母さんはそう言って、ぼくを送りだしてくれたじゃないか・・。

 

にぎりこぶしを『ぎゅっ!!』とこしらえて「そうだよ、ぼくは強いんだ。強くなって、家に帰るんだ!! 神様に守られているから、だいじょうぶ!!。必ず、家に帰れる!!」と強く思い・・

 

「神様、ぼくをお守りください、よろしくお願いします」と何度も何度も祈ったんだ。

 

すると・・

遠くの方から見知らぬライオンの家族がやってくるではないか・・彼らは、温かいまなざしを向けながらこちらに近づいてきた。

 

「だいじょうぶ?お腹すいてない?」とぼくと同じぐらいの男の子がぼくの肩に手をおいた。

 

その瞬間『からだ』から力が『フワ~ッ』とぬけて、温かい涙が『じわ~っ』とあふれでてきたよ。


「祈りがつうじたんだ。ぼくは助かった。ありがとう・神様!!」


ライオンの家族は、ぼくに温かいご飯とふわふわのお布団を用意してくれて、やさしくもてなしてくれたよ。

 

ぼくは、すっかりうちとけて、旅であった色んなことをたくさんお話したよ。

 

ライオンの家族も、ぼくが知らないことをたくさんお話してくれたよ。

 

知らない土地で知らない人たちとお話しするのはとても楽しく『こころ』を通い合わせることが、こんなにも『温かい気持ち』になるとは、旅をするまでは思いもしなかったことだったよ

 

そして・・

「どんな時も神様は、必ず守ってくださる」と信じていさえすれば・・

 

困ったことが起きても、助けてくれる人や支えてくれる人に出会えたり、困難も乗り越えられるようなことが起きてくることがよくわかるようになったよ。

 

それに・・

困っていたらお互いに助け合うことは自然なことであり、こんな人の『情け』の『ありがたみ』をしみじみと感じることができたよ。

 

この旅で・・

ぼくは「ぼくならできる!!、だいじょうぶ!!」という『自信』をつけることができるようになっただけでなく・・

  • 生きることとは、どんなことなのか・・
  • 辛抱することや絶対にあきらめないでいることとは、どんなことなのか・・
  • 人の苦しみや悲しみや情けが、どんなものであるのか・・
  • ひとりで生きることの『自由』と『孤独』『ひとりだち(自立する)』ことのたいへんさ・・

を身をもって知ることができたよ。

 

そして・・

当たり前の日常がどれほど、尊くたいせつなものであるかや、家族の『ありがたみ』も、とてもよくわかるようになったよ。

 

自分もいつかは、お父さんやお母さんのもとから巣立ち、お父さんやお母さんのような家族をもちたいと思うようにもなったよ。

 

こうして・・

この旅では、たくさんの貴重なことを『学ぶ』ことができたんだよ。

 

「お父さんは、楽しんでおいで・・」と言ったのに、ぼくにひどい意地悪をしていると旅の途中に何度も思ったけど・・

 

『獅子はその児(こ)を千仞(せんじん)の谷底に落とす』という教えにならった・・可愛い我が子をたくましく育てるための、お父さんライオンの『真のやさしさ』だったことに気づけたよ。

 

「ラオリーよ!! 真の『勇者』であり『賢者』となって弱い者を守り救いなさい」と、いつも、お父さんから教えられているけど、この旅でその意味がよくわかるようになったよ

 

「どう・・ぼく、強くなった?」

お父さん、お母さん、神様、ありがとう!!」。

 

このブーツは、今でも愛用しているぼくの宝物だよ。